PARCIC

シリア/シリア難民

ベカー県の教育センターで文房具セット・ジャケット・そろばんの配布

日本では暖冬が続いていたようですが、こちらレバノンの内陸部ベカー県は盆地のため、まだまだ身を切るような寒さが続いています。そんな中でも、子どもたちは、パルシックが運営する教育センターに、毎日元気に通っていました。

先月は、子どもたちが使う通学バックと文具品セットの配布を行いました。日本では当たり前のように、どこでも購入できる文具品ですが、こちらでは消しゴム1つすら、難民の一家にとっては何度も買えるものではありません。また、安価なものほど質が悪く、購入した文具品がすぐ使えなくなってしまうこともよくあります。そのため、1つの消しゴムをクラス中で借りあったり、ノートを使い切ったために友達にノートの切れ端をわけてもらうといったことはよく起こっていました。パルシックでは、 様々な文具品をセットにして配布しましたが、消耗品ですので、また時期を見て子どもたちに必要な学用品を配布したいと思います。

文具品セットを受け取り喜ぶ子どもたち

文具品セットを受け取り喜ぶ子どもたち

また、厳しい寒さが続く中、子どもたちの多くが昨年や一昨年から同じジャケットを着続けており、身体のサイズに合わなかったり、着古して防寒の役目を果たさなくなっていることから、防寒着の一斉配布を行いました。色や柄、サイズに関してもできるだけ配慮し、豊富に揃えた上で実施しましたが、高学年の子どもの中にはどのジャケットも小さすぎて入らない子どももいました。また、10代の多感な子どもの中には、こころなしかがっかりしているように見られる子どももおり、聞いてみると、自分好みの柄じゃなかったということでした。

でも、これはわがままなのでしょうか。自分の好きな色や柄のジャケットを着たいというのは、本当に自然な人間としての欲求で、こちらで勝手に選んだ服を感謝して着るようにというのは、もしかしたら押し付けなのかもしれません。サイズや柄があわなかった子どもに関しては、購入先の店舗で後日、交換対応してもらうことになりました。すべての子どもが自分の好きな柄や色の服を選ぶことができればそれが一番良いのですが。スタッフや先生にとって、配布を行うためには常にいくつもの課題があります。

「昨年もらったジャケットは小さくてとても着づらかった。新しいジャケットをもらえてとても嬉しい」という教育センターの児童

「昨年もらったジャケットは小さくてとても着づらかった。新しいジャケットをもらえてとても嬉しい」という教育センターの児童

6~12歳児の教育センターの先生は、ほぼ全員がシリア難民です。生徒と同じようにシリアから避難してきて、レバノンでの過酷な現状に直面しながらも、その日を生き抜いている先生たちだからこそ、生徒たちの気持ちを理解し、受け止め、よき相談相手となることができます。そんなシリア難民の先生の1人が、算数を教えるハイヤーン先生です。シリアのアレッポから内戦を逃れてこの地にやってきました。インターネットを通じてそろばんのことを知り、独学で勉強した後、そろばんの専門機関で資格を取りました。ハイヤーン先生の授業はいつも活気に満ちています。先生が問題を出すと、答えたくて立ち上がって挙手する生徒たちでいっぱいになります。そんなハイヤーン先生の悩みは、そろばんが1つしかないことでした。生徒たちに教えたくても、暗算という形でしか教えられない。そんな先生と子どもたちに手を差し伸べたのが、兵庫県小野市役所でした。

日本のそろばん生産のシェア70%を占める2大産地の1つ、小野市は、10年以上前から中古のそろばんを集めては、海外の教育現場への寄贈を積み重ねてきました。同市のご厚意によって、2020年1月、80丁のそろばんが海を越えて無事、パルシックのレバノン事務所に到着し、子どもたちに配ることが出来ました。

▽ 兵庫県大野市行政サイト:そろばんリユース事業にご協力ください

https://www.city.ono.hyogo.jp/1/8/32/n102/3/

▽ 神戸新聞NEXT:シリア難民の子どもにそろばん80丁寄贈 小野市

https://www.kobe-np.co.jp/news/hokuban/202001/0013010998.shtml

子どもたちは初めて触れる大きなそろばんの感触に目を輝かせ、早速、ハイヤーン先生とともに1桁の計算方法から習います。週に1度はそろばんを使った授業を取り入れることになり、子どもたちはそろばんを通じて算数の学力を力強く伸ばしていくことでしょう。子どもたちの成果については、いずれまたお伝えできればと思います。

小野市から頂いたそろばんを手にして喜び一杯の子どもたち

小野市からいただいたそろばんを手にして喜び一杯の子どもたち

【追記】
2月21日にレバノン国内で初めてのコロナウイルス感染者が確認されたことを受け、UNICEFの勧告に基づき、2月29日以降教育センターの運営を停止しています。レバノン政府の方針により、3月15日より外出禁止令が発令され、4月12日まで不要不急の外出の禁止、公共及び民間施設の閉鎖が続く予定です。教育センターに通う子どもたちの世帯の多くは近隣の難民キャンプで生活しており、生活環境が悪いため、コロナウイルス感染のリスクが非常に高いことが心配されています。

パルシックは、提携団体と協力して衛生用品の配布や食糧バスケットの配布を実施する予定です。

(レバノン事務所 南)

※この事業は、ジャパン・プラットフォームからの助成および皆さまからのご寄付により実施しています。
※そろばんの配布は、兵庫県小野市のご支援で実施しました。