ガザの現状と市民の想い~イラン戦争の陰で続くガザへの攻撃~駐在員トークイベントより
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「世界はまだ私たちのことを覚えていますか」
そう世界に問いかけるのは、イラン戦争の陰で、絶望の日々を生きるガザの人びとです。
パルシックは、ガザの人びとのことを忘れないために、そして見捨てないために、6月24日にガザの人びとの声を伝える報告会をオフラインで開催しました。
イベントではパレスチナ駐在員(ガザ事業担当)からガザの現状を説明した後、東京事務所職員とのクロストークやQ&Aを通して現在のガザの状況について参加された皆さまと理解を深めていきました。

イベントの様子
本記事では、イベントの内容を一部抜粋してお伝えしていきます。
ガザの現状 ―天井のない監獄
2012年、国連のレポートで天井のない監獄と評されたガザ地域では2022年当時の段階で、全人口220万人の内80%の人々が人道支援に頼る生活を余儀なくされています。2006年からイスラエルによる軍事封鎖が続いており、ガザ周辺は分離壁で囲まれ、ガザ市民はガザの外にイスラエルの許可なく出ることはできませんでした。そのため、戦争以前からガザ地域は「天井のない監獄」と呼ばれ、開戦移行、ガザの子どもから「逃げる場所は天国しかない」と悲痛な思いが届くこともありました。

軍事封鎖されている中で、戦争以前のガザのインフラ状況など想像が難しいかもしれません。ガザは国際社会からの支援により、生活に必要な買い物施設、病院、大学などが建設され、最低限の生活は比較的維持されていました。しかし、2023年10月7日、ハマス(注1)によるイスラエルへの越境攻撃をきっかけに、イスラエルによる大規模報復へと発展しました。その結果、ガザ全土の9割が破壊または破損し、「ガザは70年以上前に戻った」と言われるほどの惨状となりました。戦争が破壊したのは建物だけではありません。2023年10月以前にも、ガザ市民は既に6回の軍事衝突を経験しており、2年間以上にわたって続いた大規模攻撃、現在でも続く散発的な攻撃にガザ市民の心は疲弊し、翻弄され続けています。
2025年10月に停戦合意が結ばれましたが、厳しい状況は依然として続いています。停戦以前よりは、食料がガザ域外からトラックで少し入るようになりましたが、今でも人口200万人のうち17%の人は一日に一食しか食べられていません。また、徹底的な破壊に伴い、利用可能な農地はわずか4%に留まっており、食料確保の大半がトラックの搬入状況に左右され続けています。教育に関しては、停戦以降に補習授業が再開傾向ではるものの、63万7000人以上の学齢期の子どもが十分な教育機会にアクセスきていません。劣悪な衛生環境も問題であり、ビルの13階分の高さのごみ山があるところもあります。


注1:ハマスは、1987年にイスラム主義運動家であるヤシン師がガザ地区を中心に創設したイスラエルに対する抵抗組織であり、政治・軍事・社会福祉部門を担う政治政党。
人びとの
2年以上にわたる戦闘で、ガザ市民は退避を何度も余儀なくされた。また、空爆下で生き延びた子どもたちは、「空爆には慣れています。私たちは残念ながら空爆を怖いと感じなくなりました」と話します。

また、激しい戦闘中に親を失った子どものなかは、自分だけ生き延びたことが苦しく、自ら撃たれにイスラエル兵に近づくケースもありました。子どもたちが直面している惨状は、想像が容易ではない絶望の日々です。絶対にこのような筆舌に尽くしがたい状況があってはいけません。
停戦後も改善の兆しが見えず、社会秩序の崩壊や八方ふさがりの状況に加えて戦火がイランまで拡大したことで、ガザ市民は「世界は私たちを忘れたのではないか」という絶望感を抱いています。
「どんな言語を話し、どんな宗教を持ち、どこに生まれたとしても、人間がニュースの数字だけになってはいけません。ガザの私たちも、”人間”として見てほしいです」と16歳の少女は話します。
パルシック ガザスタッフからの声
イベントでは、ガザスタッフから預かった日本の皆さまへのメッセージも紹介しました。その一部を報告いたします。
多くのガザ市民が孤立し、世界から忘れ去られていると感じる今、皆さまの存在は、世界のどこかで私たちの命、尊厳、そして未来を大切に思ってくれている人びとがいることを思い出させてくれます。
人びとはよく、『世界はまだ私たちを覚えているのだろうか』『私たちの声にはまだ意味があるのだろうか』と問いかけます。
どうか、ガザで起きていることについて語り続けてください。どうか私たちのことを心に留め、祈りの中で思い出してください。
メッセージの全文はこちらでご確認いただけます。
ガザスタッフからの手紙 ― 日本の皆さまへ
パルシックの活動
厳しい状況が続く中でも、パルシックはガザの人びとの声に耳を傾けながら、現地のガザスタッフと連携して支援活動を継続しています。食料バスケットや農業資材などの緊急支援物資の配付(ジャパンプラットフォーム助成)、畜産支援を通した農家の収入向上支援(外務省NGO無償資金協力)、そして皆さまからのご寄付による衣料品の配付など様々な活動を続けています。
<図:2023年11月以降実施した支援活動一覧> (2026年6月20日時点)




皆さまからのご寄付で慢性疾患を抱える世帯に食料を届けました
私たちにできること
これからもパルシックは、現地のニーズに応じて細やかな支援活動を続けるとともに、現地の暮らしや人びとの声を伝え、市民社会への情報発信を続けていきます。また、他団体と連携しながら、政策提言やアドボカシー活動も行っていきます。
ガザを知ること、学びを周囲と共有すること、署名活動への参加、映画鑑賞やデモへの参加、議員やメディアへの働きかけなど、一人ひとりにできる行動があります。また、パルシックでは、ガザの人びとに寄り添い、息長く支えるサポーターを募集しています。温かいご支援へのご協力を宜しくお願い申し上げます。
