PARCIC

スリランカ

紅茶便り#15 大統領選挙とその後

アーユーボワン!

日本でもニュースになりましたが、スリランカでは1月8日に大統領選挙が実施されました。その結果、3期目の再選を狙ったラージャパクサ氏を抑えて、野党統一候補のシリセーナ氏が勝利し大統領に就任しました。この選挙の詳細は、背景についてはこちら、また選挙後にパルシック主催で開催した討論会の様子をご参照ください。

今回はデニヤヤでの選挙前後の様子、そして選挙から2か月ほど経てからの人びとの様子をご紹介します。ラージャパクサ元大統領は、南部の農村地域での絶大な人気を基盤に大統領を2期続けました。今回の大統領選も南部での結果を見ると、ラージャパクサ氏の得票数がシリセーナ氏の得票数を上回っていました。デニヤヤもその南部の農村地域であり、ラージャパクサ氏の人気は根強いものでした。特に、デニヤヤはラージャパクサ氏の義弟の地元で、その義弟は町の発展にも直接的に貢献してきた人です。また、デニヤヤは内戦による被害を直接的に被った地域ではありませんが、他の南部地域同様に、ラージャパクサ氏が内戦を終結させたことで多くの人びとの心を掴んできました。選挙後、ラージャパクサ氏の退陣が決まってから、同氏の支持者に聞いたところ、大統領が変わったら再び内戦が起こるかもしれない、と本気で恐れている様子でした(※ラージャパクサ陣営の選挙戦略として、内戦終結の功労者であることを全面に押し出し、アピールしていた結果でもあると思います)。ただし、ラージャパクサ氏の政治に対して不満、特に権力の私物化や汚職に対する批判もくすぶっていました。

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選挙後に農家の家で広げられていた新聞。写真の人物が新大統領のシリセーナ氏。

選挙前、デニヤヤ周辺の村は、当時現職だったラージャパクサ大統領派と統一野党の支持を受けたシリセーナ派の2つに分かれ、少し雰囲気が変わっていました。キリウェラガマ村のおじちゃんたちは、夕方になるといつも村のお寺の前にある商店の軒先でおしゃべりをしているのですが、選挙前はシリセーナ支持者はこの商店へ集まり、ラージャパクサ支持者はデヒガンポラという隣の地域の商店へ集まって政治の話をする、という具合でした。ちなみに、選挙後は何事もなかったように元の雰囲気に戻っていますので、ご安心を。

ラージャパクサ陣営は選挙公示前から大量のポスター掲示作戦に出ており、どこでもここでもラージャパクサ氏のポスターだらけでした。選挙直前になると、シリセーナ陣営の支持者が自発的に作ったポスターを張り出しました。夜になると、対立候補のポスターをはがし、支持候補のポスターを張るというポスター合戦が続きました。

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ポスター合戦の痕跡

スリランカの選挙は18歳から投票ができます。私がホームステイしている家のシャキーラちゃんは今回が初めての投票でした。投票すると、その証に指先を簡単には落ちない染料で染められます。スリランカと日本では大きく違うなあ、と思ったのは政治に対する人びとの関心の高さです。政治の仕組みや社会が違いますので、一言では言い切れませんが、スリランカの人びとは老若男女関わらず政治に関心を持っており、特に選挙前は人が集まると必ず選挙の話になります。実際に、選挙の投票率はいつも高く、特に今回の大統領選挙は80%ほどの高い投票率となりました。

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我が家のシャキーラちゃん。指先が紫に染まっています。

さて、シリセーナ大統領は選挙後100日プランと称して、色々な政策を進めています。ただし、100日プランの大きな柱である、大統領の権限を制限する選挙制度の改正などを含んだ、憲法の改正はなかなか進まない状況が続いています。また、現政府はシリセーナ大統領の所属するスリランカ自由党(元与党)とシリセーナ大統領を選挙で支持した統一国民党(元最大野党)の連立となっており、相互の調整も難航しています。デニヤヤの農村の人びとは選挙でいったん落ち着いたものの、実際にじっくり腰を据えて新しい政治が進められるのは、4月に国会が解散され、6月以降に予定されている国会議員選挙の後とみているようです。
(デニヤヤ事務所 高橋知里)