PARCIC

ベカー県でのシリア難民への教育支援事業(2017年4月~2020年10月)

ベカー県に住む貧しいシリア難民の子どもたちが、将来「失われた世代」となることのないように、基礎教室と課外活動、給食を提供しています。

人口わずか440万人、岐阜県とほぼ同じ大きさのレバノンには(2019年9月時点で)約92万人のシリア人難民がUNHCRに登録していますが、推定では150万人が滞在しているとされています。さらに、シリア紛争以前から滞在しているパレスチナ難民約30万人とシリアからのパレスチナ難民を合計すると、レバノンの人口のじつに4人に1人以上が難民です。決して豊かとはいえない小国レバノンの、とくに難民が集中して暮らす地域のコミュニティは大きな負担を強いられています。

シリア難民が多く住む地域の1つ、ベカー高原では、シリア難民は農村地帯の決して豊かとはいえない暮らしをしているレバノン人の農地の一部を借りて、テントなどを張って住んでいます。これはレバノン政府が難民の定住化を好まず、難民たちが固定住宅に住むことを認めないためです。学校も近隣になく子どもたちの多くは、“通学したくても定員オーバーで長期間待機しなければならない”、“登校のためのバス代が払えない”、“急に学校に通っても授業についていけない”などの理由で、就学できていません。レバノンにおけるシリア難民の3歳から18歳の子どもたち488,000人のうち、半数以上の子どもたちが学校に通っていません。ベカー県の場合はさらに状況が悪く、初等教育に相当する子どもたちの通学率は55%(全国平均61%)と低く、中高校生の90%が学校に通っていません。10歳前後の子どもたちが教育にアクセスできないことは、男子の場合は児童労働、女子の場合は「早すぎる婚姻」にもつながっています。

シリア難民がレバノンにやってきてすでに8年が経過しましたが、情勢における今後の展望は未だ定かではありません。その期間を教育の機会がないまま過ごすことは、シリア内戦が終結して帰還できた後も、その子どもたちの将来、ならびにシリア社会にとって大きな影を落とすことになるでしょう。

パルシックはレバノンのNGO、Sawa for Development and Aid と出会い、何とか子どもたちに教育の機会をつくりたいと考え、ベカー県ザハレ郡ダルハンミーヤ地区の難民キャンプに隣接する場所に教育センターを設置しました。2017年9月から、就学できていない子どもたち(5~12歳)が基礎教育を毎日受けており、多くの子どもがレバノンの公立学校に通学できるような 活動を積極的に展開してきました。

シリア難民の多くが暮らすベカー県。このようなテントで生活する世帯が多い

シリア難民の多くが暮らすベカー県。このようなテントで生活する世帯が多い

テントの並ぶキャンプ地の中心に出来た教育センター

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就学前教育の児童の教室の様子。先生の動きを真似て手遊びしています

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教育センターで楽しそうに過ごす子どもたち

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※この事業は、ジャパン・プラットフォームからの助成および皆さまからのご寄付により実施しています。

スタッフレポート

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