PARCIC

ベカー県でのシリア難民への教育支援事業(2017年4月~)

ベカー県にいるシリア難民の子どもたちを対象に、言語、数学などの教育と音楽、スポーツ、絵画などの活動の場を提供し、子どもたちの発達と社会参加の拡大を目指します。

人口わずか400万人、岐阜県とほぼ同じ大きさのレバノンには現在約100万人のシリア人難民がUNHCRに登録していますが、推定では150万人が滞在しているとされています。さらに、シリア紛争以前から滞在しているパレスチナ難民約30万人とシリアからのパレスチナ難民を合計すると、レバノンの人口のじつに約40%が難民です。決して豊かとはいえない小国レバノンの、とくに難民が集中して暮らす地域のコミュニティは大きな負担を強いられています。

シリア難民が多く住む地域の1つ、ベカー高原では、シリア難民は農村地帯の決して豊かとはいえない暮らしをしているレバノン人の農地の一部を借りて、テントなどを張って住んでいます。これはレバノン政府が難民の定住化を好まず、難民たちが固定住宅に住むことを認めないためです。学校も近隣になく子どもたちの多くは、“登校のためのバス代が払えない”、“急に学校に通っても授業についていけない”などの理由で、就学できていません。レバノンにおけるシリア難民の3歳から18歳の子どもたち487,212人のうち、公教育に就学できているのは42%にとどまっています。11歳から17歳の中高校生となると状況は一層悪くなり、学校に通っていない子どもの数は84%に上ります。ベカー県の場合はもっとも劣悪で、初等教育に相当する子どもたちの70%が、中高校生の91%が学校に通っていません。10歳前後の子どもたちが教育にアクセスできないことは、男子の場合は児童労働、女子の場合は「早すぎる婚姻」につながっています。

シリア難民がレバノンにやってきてすでに6年が経過しましたが、情勢における今後の展望は未だ定かではありません。その期間を教育の機会がないまま過ごすことは、シリア内戦が終結して帰還できた後も、その子どもたちの将来、ならびにシリア社会にとって大きな影を落とします。

パルシックはレバノンのNGO、Sawa for the Development and Assistant と出会い、何とか子どもたちに教育の機会をつくりたいと考え、ジャパン・プラットフォームの資金を得て、ベカー県ザハレ郡ダルハンミーヤ地区の難民キャンプに隣接する土地に仮設教室を設置しました。就学できていない子どもたちを対象に2017年6月からノンフォーマル教育を提供する計画を立て、準備を開始しました。ところが2017年3月、突如、リヤク空軍基地から6×9キロメートル四方の範囲に居住しているシリア難民に退去命令が下され、ダルハミーヤ地区の難民キャンプも退去対象となりました。こうしたことは残念ながらレバノンでは頻発し、そのたびに難民たちは移住を余儀なくされ、生活の不安に拍車がかかっています。

この状況を受け、新たな設置場所を調査し、ダルハミーヤキャンプから車で5分程度の、ダルハミーヤから移住した世帯も多く居住するルエス地区難民キャンプのそばに設置可能な場所を見けました。周辺には複数のキャンプ地がありますが、教育のニーズは非常に高いもののシリア難民の子どもが通える学校はありません。2017年9月には仮設教育施設の移転が完了し、翌月の10月から子どもたちを受け入れ始めています。

シリア難民の多くが暮らすベカー県。このようなテントで生活する世帯が多い

シリア難民の多くが暮らすベカー県。このようなテントで生活する世帯が多い

テントの並ぶキャンプ地の中心に出来た教育センター

テントの並ぶキャンプ地の中心に出来た教育センター

就学前教育の児童の教室の様子。先生の動きを真似て手遊びしています

就学前教育の児童の教室の様子。先生の動きを真似て手遊びしています

教育センターで楽しそうに過ごす子どもたち

教育センターで楽しそうに過ごす子どもたち

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