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家庭訪問から見えたキャンプで暮らす人びとの生活

  • 活動レポート

レバノンの内陸部べカー県バル・エリアス市でパルシックが支援している教育センターに3人の娘さんを通わせているカーリッドさん(仮名)一家を家庭訪問しました。

カーリッドさん(73歳)は、2017年までシリアのアレッポ郊外に住んでいましたが、戦闘が非常に激しくなり、5人の娘を連れてレバノンに文字通り、着の身着のまま17日間かけて、避難してきました。今は、教育センターのすぐ横にあるユーセフ難民キャンプに住んでいます。妻のハディージャさんは43歳ですが、低血圧で病気がちです。

ご主人が高齢で働けないため、農地で草刈りや玉ねぎなどの収穫を行う仕事を2年間しました。ハディージャさんは「朝は4時から働き始めて、夜は5時頃まで一日中働き続けたわ。若い女性たちは果物などを積む仕事を、私たち中年の女性たちは大地にはいつくばって、草むしりや野菜を掘り起こす仕事をしたの。一日中、泥だらけになって働いても、たった500円ももらえないのよ。シリアにいた時は、専業主婦で一度も働いたことなんかなかった。それでも、家族を支えるために歯を食いしばって働いたわ。でも、栄養が足りないせいか、血圧が低すぎて働けなくなってしまった。今は国連の支援以外、何の収入もないの。支援もいつ途絶えるのかといつも心配です。」とレバノンに来てからの生活の様子を教えてくれました。

1日10時間以上の過酷な労働を経ても、手にする現金はたった500円足らず。非常に物価が高いレバノンでは、安い果物や野菜を買うのが精一杯です。子どもは娘5人で、頼りになる男性の稼ぎ手はありません。そんなカーリッドさん一家に、2019年10月以降続くレバノンの経済危機が追い打ちをかけています。カーリッドさんによると「市場に行っても、物価が2倍、3倍に膨れ上がって何も買えない。汁物と野菜を食べるのが精一杯だよ。」

家庭訪問した時には、4歳と5歳の娘さんが家にいましたが、ほとんど何の玩具も本もなく、小さなテレビがついているだけ。この年齢の子どもは元気に歌ったり走り回るものですが、部屋の中は寒く、栄養も足りないせいか、二人ともぐったりしたように大人しく、ほとんど何も話しませんでした。

「食べるものがない中、教育センターで提供される給食にはとても感謝しています。娘たちは、センターでは給食を食べずに、そっと妹たちのために持って帰ってくるのよ。シリアでは内戦のせいで一度も学校に通っていなかったから、ここで通学できてとても喜んでいます。長女のアリマス(9歳)は、成績もいつもよくて英語の綴りも上手にかけるのよ。勉強熱心で、配布された学用品のノートを使い切ってしまい、買いにいったほどです。」

帰り際にカーリッドさんが言いました。

「いつかシリアで戦争が終われば、故郷に帰りたい。わしが何とか帰れるうちに。」

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家具も何もないカーリッドさんの家。ガランとした一間があるだけ

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カーリッドさんが暮らすユーセフ難民キャンプの様子

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冬場でも、小さな子どもたちの履く靴は安価なプラスチック製のサンダルしかない

(レバノン事務所 南)

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