質の高い堆肥で目指す有機紅茶の生産性と収入の向上
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2024年6月にJICA草の根技術協力事業での有機茶栽培の生産性を上げる事業を開始して間もなく2年になります。有機茶葉の栽培には化学肥料を使う代わりに有機堆肥が欠かせず、これまでは地域に伝わる作り方で堆肥を作ってきました。事業開始後は、他の地域での堆肥作りを学ぶため、スリランカ北東部のトリンコマリや同じ南アジアのネパールで研修を受けてきました。
堆肥作り研修を日本で実施
より知識や技術を深めるために、昨年11月28日から12月4日にはスリランカから日本に渡航し、堆肥作り専門家の橋本力男さんが主宰する三重県の堆肥・育土研究所で研修を受けました。良質な堆肥作りを学びデニヤヤで普及していくことを目的としたこの研修には、スリランカからは農家グループ・エクサの会員である有機茶農家、スリランカ政府紅茶専門家、コンポストセンター・スタッフと本事業スタッフの4名が参加しました。研修では、堆肥・育土研究所での座学と実習だけでなく、日本の農家が主体となった6次産業化の取り組みなどについても学びました。
50年間ご自身で堆肥作りをし、長年コンポスト学校も開催されている橋本さんの研修はとてもわかりやすく、参加者は従来の堆肥づくりに不足していた要素や、腐敗と発酵の違いなどを深く理解することができました。

堆肥・育土研究所での座学の様子

橋本専門家の堆肥舎での実習の様子
日本で学んだ堆肥の普及を開始
日本での研修の最後に、これからデニヤヤに帰って実施することについて参加者全員で話し合い、アクション・プランを立てました。その中で、まずは翌月にデニヤヤの農家を対象にデモンストレーションを行い研修で習得した知識を共有することを決め、1月に実施しました。デモンストレーションを通じた研修にはエクサ参加農家のほか、スリランカ政府紅茶専門家、他の地域で有機茶栽培に取り組んでいる方も参加し、日本から派遣された農業・農業普及の専門家も加わりました。
このデモンストレーションでは、日本の研修で学んだ3種類の材料の組み合わせでの堆肥作りと、床材(とこざい)と呼ばれる生ごみから堆肥を作る際の副処理剤を作りました。従来の堆肥とは違う材料で作る堆肥に参加者は興味津々で、「日本式の堆肥を自分の茶園に施肥してみたい」と話す農家もいました。

日本で研修を受けたスリランカ政府紅茶専門家(写真左)が説明をしながら堆肥作りのデモンストレーションを実施
有機茶以外の有機農産物の可能性を探る
また、この事業では、茶葉の生産性向上だけでなく農地に混植する有機農産物による収入の向上も目指しています。現在、農業専門家とともに、デニヤヤ地域と少し離れた商業地域での農産物店の調査を行い、その可能性を探っています。農産物をそのまま出荷することと、加工して出荷することの両方を見据えて、有機農産物を取り扱ってくれそうなお店や農産物の加工を行っているお店をいくつか訪問しました。1月の調査では、デニヤヤでよくとれる檳榔樹(びんろうじゅ)の実やココナッツオイルが出荷する商品の候補に挙がりました。今後さらに調査を進め、農家・デニヤヤ事務所のスタッフ、専門家とともに有機茶以外の農産物でも農家の収入が増えるような活動に取り組んでいきます。

農産物店で集められた檳榔樹の実。現地の嗜好品の噛みたばこに使われる

ココナツオイルを絞り出す機械
(スリランカ事務所 谷川望美)
*この事業はJICA草の根技術協力事業の業務委託を受けて実施しています。
