特定非営利活動法人 パルシック(PARCIC)

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能登レポート(前編):人が集う明かりを、もう一度。

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みんなの居場所「なごみ」

震災から3度目の冬を迎えた能登。振り返ればあっという間の2年間でしたが、能登の中と外では時間の進み方が大きく違うように感じます。

震災の後、被災状況や環境により、つながりの強かったコミュティがばらばらになり始めていると感じ、私たちは「地域を越えて人が集い、安心して過ごせる居場所が必要だ」と考えるようになりました。そして、2025年に能登町で常設の居場所「なごみ」をスタートさせました。

「なごみ」は、もともとお風呂やプールを備えた、町の福祉健康施設として親しまれてきた場所です。しかし地震によって半壊し、入浴施設やプールは使えなくなっていました。一方で、ホールや厨房など、施設の一部は大きな被害を免れていました。私たちはこの場所を借り、使える空間を活かしてカフェの運営を始めることにしました。形は変わっても、再び人が集う居場所として、「なごみ」を動かし始めたのです。

この1年、私たちの活動は、この「なごみ」を中心に進んできました。

半壊した施設を借り、運営できる状態に整えるまでには多くの手間がかかりました。また、開所後も冷暖房の不具合や水道管の破損など、想定外のトラブルがたびたび起こりましたが、その都度、関係者と相談しながら一つひとつ対応してきました。

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冷暖房の設備が使えないため、被災して使えなくなった町内の小学校からエアコンを移設

「不完全な場所で居場所を開いて良いのだろうか」と思うこともありましたが、今ではそれを上回るくらい、「なごみ」という場所が地域の方たちにとって大切な場所になっていると感じています。

卓球チーム、クラフト部や地域の高齢者サロンの場として利用されたり、町の復興意見交換会の会場として使われることもありました。月1回開催している子ども食堂は100人を超える人でにぎわい、子どもだけではなく親御さんや高齢者の楽しみの場所にもなっています。

ただ、最初から人が集まる場所だったわけではありません。慣れないカフェの営業でオペレーションを安定させるまでは数か月かかり、はじめの頃は少しでも注文が続くとお客さんをお待たせしてしまうこともしばしばありました。

そもそも「なごみ」が再開したことを知らない人も多く、「営業中」の旗を見て恐る恐る入ってくる人も。チラシを配ったり、メニューを増やすなど試行錯誤を続け、スタッフ間のチームワークができてくると、次第にうまく回るようになっていきました。

 「お風呂とプールは使えないけれど、美味しい食事や空間を楽しみに人が集まるきっかけになれば」という思いで考えられたランチは、安くて美味しいと好評で、口コミで常連のお客さんも増えています。

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12月に年末特別企画として開催したバイキングは大好評でした!

食事以外にも、なごみで開催するイベントは仮設住宅入居者や在宅被災者など関係なく誰でも利用できます。「次はどんなイベントをするか楽しみにしている」と、SNSをこまめにチェックしてくれる方もいます。

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地元の方を講師に招いたしめ縄づくりワークショップ

心のよりどころの一つ

「なごみ」が隣接する鵜川地区は能登町の中でも被害が特に大きい地域です。公費解体が終わり更地になったところも多く、気軽に人が集まれる場所がほとんどありません。そのため、2025年も終わりが近づくにつれ、「ここは来年どうするの?」「来年も続けて欲しい」といった声をかけられることが増えてきました。

私たち自身も、せっかくここまで人が集まる場になっているのだから、何らかの形で継続したいと考えるようになりました。

「なごみ」は施設が大きいため水道光熱費などの固定費が高く、同じ場所で継続すると決断するのは簡単ではありませんでした。一方で、震災以前から地域の社交場であった「なごみ」で居場所を続ける意義を、私たちは強く感じています。

去年2月に「なごみ」をスタートしたとき、近隣に住む方から「なごみに明かりがついているだけで、ちょっと泣きそうになる」と言われたことがありました。震災で多くの家が壊れ、町の様子は大きく変わってしまいました。昔から住んでいた人たちの喪失感は計り知れないもの...。そんな中で、「なごみ」が開いていることが、心のよりどころとなる部分があるのではないかと思うのです。

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子ども食堂の一コマ。子どもも大人も思い思いに過ごす様子を見ると毎回気持ちが温かくなります

同時に、能登のスタッフも「来年も続けたい」という思いが強く、一緒にやっていく仲間が出来たことも後押しになり、議論を重ねた結果、今年も「なごみ」を続けることを決めました。

去年は「なごみ」を場として開き、運営を安定させることで精一杯でしたが、今年はこれまでの活動に加え、夏休みの子どもの居場所づくりなどに取り組んでいきたいと話しています。今年も訪れる人にとってホッとできる場所をみんなでつくっていきます。

 「なごみ」は誰でも立ち寄れる場です。もし近くに来る機会があればぜひお立ち寄りくださいね。

 (能登事務所 小栗清香)
※この事業は、ジャパン・プラットフォーム、ALAMCO SRI 社会貢献ファンド(愛称:あすのはね)の助成と皆さまからのご寄付で実施しています。

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