ガザ―終わりの見えない危機の中で守る「食べる」という尊厳
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ガザでは、昨年10月に停戦が発効した後も大規模な攻撃は減ったものの、ほぼ毎日戦闘が続いています。人口約210万人のうち8割以上が収入源を失い、多くの市民が支援団体による食料配付や無料の炊き出しに頼らざるを得ない状況です。さらに、栄養のある食料を十分に確保できない人びとに、雨季の冷たい大雨や暴風が追い打ちをかけています。過酷な天候は、仮設の避難所やテントで暮らす人びとの体力を奪い、避難生活は一層厳しさを増しています。
こうした状況の中、パルシックは1月下旬、現地の支援団体PARCと連携し、中部で避難生活を続ける995世帯に10日分の食料を配付しました。今回も、2025年12月の配付(記事はこちら食料と「ひとときの安らぎ」を届け続ける| パルシック)と同様に、慢性疾患を抱える方や高齢者のいる世帯を優先して支援しました。さらに今回は、停戦によりアクセスが可能になったため、これまで安全上の理由から支援を届けることができなかった地域で避難生活を続ける女性世帯主世帯にも食料を配付することができました。
今回のレポートでは、ガザスタッフから届いた食料配付の様子をお伝えします。

食料バスケットを受け取り、笑顔を見せる男性
ガザスタッフからのレポート
今回の食料バスケットには、新鮮な野菜や果物、卵30個、冷凍の鶏肉2羽など、6人家族が約10日間食べられる食料を含めました。特に、これまで叶わなかった冷凍の鶏肉を配付できたことに、私たちは大きな喜びを感じました。これまでも鶏肉を届けたいと強く思っていましたが、ガザへの搬入が制限されており、調達が困難だったのです。
2年以上にわたる戦争の影響で、鶏肉や卵を半年以上、あるいは1年以上食べていない人びとも多くいます。人びとの栄養状態を少しでも改善し、経済的負担を和らげたいとの思いで準備を進めました。

配付した食料バスケットの中身
現在、多くの家族にとって銀行から現金を引き出すことも難しい状況が続いています。手元にあるわずかな現金も、衛生用品など生活必需品の購入に充てる必要があり、十分な食料を確保できない家庭が少なくありません。食料バスケットを受け取った人びとは、たとえ10日間という短い期間であっても、届いた食材を使って栄養バランスの取れた食事を作ることができます。その分、手元の現金を食材以外の必需品の購入に充てることもできます。
また、この配付によって、食事の回数を減らしたり、避難の際に持ち出した家財を売って食費を捻出したりといった苦しい選択をせずに済んでいます。食料の確保に悩む日々のストレスを和らげることにもつながっています。

995世帯分の食料バスケットを準備する倉庫の様子

卵も一つ一つ割れていないか確認して梱包を行いました

一人ひとりに丁寧に食料バスケットを渡すパルシックのガザスタッフ
食料バスケットを受け取ったハナンさんの声

卵・鶏肉・新鮮な野菜や果物など、これまで手に入れることができなかった栄養バランスの良い食材を受け取り、喜ぶハナンさん
私は体調がすぐれない夫と3人の子どもを連れて、激しい攻撃が続いたガザ北部ベイト・ラヒアにある自宅を離れ、今は中部の難民キャンプでテント生活を続けています。毎日が困難の連続ですが、今回受け取った食料バスケットは、戦争が始まってからこれまでに受け取ったものの中で、最高の食材ばかりでした。卵、鶏肉、野菜、果物など、必要な食材がすべて揃っています。長い間、こうした栄養価の高い卵や鶏肉、新鮮な野菜を入手することができませんでした。インフルエンザなどが流行するこの寒い時期に、子どもたちの健康を守るためにもビタミンCが摂れるレモンは特に心強いです。卵と鶏肉も久しぶりなので、子どもたちもきっと大喜びするでしょう。

新鮮なレモンを一つひとつ手に取り、品質を確認するパルシックのガザスタッフ
また、食料バスケットを受け取った多くの女性たちからも、次のような声が寄せられました。
子どもたちのために、卵や鶏肉のようなタンパク質のある食材は本当に助かりました。長い間レンズ豆ばかり食べていたので、鶏肉が丸ごと2羽もあり、子どもたちはとても喜ぶでしょう。家に食べ物があると、心身ともにほっとします。
これらの声は、収入を失い、深刻な食料不安の中で避難生活を余儀なくされている多くの市民の状況を物語っています。停戦後も、ガザでは誰もが日々の食料の確保に苦しんでいるといっても過言ではありません。
ガザでは、食料支援は単なる緊急支援以上の意味を持っています。それは国境を越えた市民同士の連帯の象徴であり、人びとを守る支えであり、危機の中で基本的な生活を維持しようとする家族にとっての命綱でもあります。終わりの見えない危機の中で、最低限の「食べる」という尊厳を守る重要な支えとなっています。パルシックはこれからも、できる限りの食料配付を続けていきます。今後とも、ご支援をよろしくお願いいたします。
(パレスチナ事務所)
※この事業は、ジャパン・プラットフォームの助成と皆さまからのご寄付で実施しています。
