ガザ緊急支援:継続的な医療を必要とする子どもたちに夏の衣料品セットを届けました
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子どもたちに届けた衣料品セット(夏服・靴・お絵描きセットや絵本など)
2025年6月初旬、ガザ地区中部のデイル・アル・バラ市で、継続的な治療が必要な病気を抱える子ども120人に、現地の支援団体と協力して夏の衣料品セットを届けました。皆さまからの温かなご寄付により、この活動を実施することができました。ご支援くださった皆さまに心から感謝いたします。
20か月以上にわたる攻撃と厳しい軍事封鎖により、ガザの医療体制は深刻な打撃を受け、人びとの栄養状態も悪化しています。なかでも、継続的な治療を必要とする子どもたちは、薬や医療にアクセスできず、食料不足による栄養失調も重なって、命の危険と隣り合わせの日々を過ごしています。さらに、ガザでは暑い夏を迎えており、子どもたちの衛生環境がいっそう悪化するおそれがありました。病気を抱える子どもたちを皮膚病やその他の感染症から守るため、パルシックは夏服や靴を届けました。また、ほんのひとときでも子どもらしい時間を持ってもらい、笑顔につながればとの思いから、お絵描きセットや絵本なども一緒に届けています。

靴屋の協力を得て、子どもたちが自分の好みの靴とサンダルを選べるようにしました
シャームちゃん(6歳)
シャームちゃんは、これまで何度も退避を強いられて、2025年1月末の一時停戦の時にようやく自宅に戻ることができました。お母さんによると、シャームちゃんには野菜や肉など栄養バランスの取れた食事が必要ですが、今は親戚や近隣の人から分けてもらった豆のスープしか食べられていません。命を守るための治療も、以前は週に2回を受けていましたが、今は週に1回しか受けられていません。さらに、交通手段の確保が難しく、通院も容易ではありません。
現在妊娠8か月のお母さんにとって、長時間歩いてシャームちゃんを病院に連れて行くのは、体に大きな負担がかかります。それでも毎週、朝6時に家を出て、片道4時間半かけてガザ地区中部のアル・アクサ病院まで付き添い、帰宅は夜の8時頃になるそうです。継続的な治療が必要な病気を抱える子どもたちの置かれた状況は非常に過酷です。そんなシャームちゃんは自分の好みの夏服や靴を選ぶことができ、とても喜んでくれました。そして、喜ぶシャームちゃんを見て、お母さんも心から喜んでいました。

ガザ地区中部デイル・アル・バラ市の洋服店の協力を得て、子どもたちが安心して試着しながら選べるように配慮しながら実施しました

子どもたちは何度も試着をしてお気に入りの夏服を選びました
ラシールちゃん(4歳)
ラシールちゃんは、生後14か月で病気と診断され、それ以来、定期的な治療を必要としています。今でも月に一度の治療はなんとか受け続けられていますが、薬はほとんど使い切ってしまい、さらに栄養価のある食事をとることも難しい状況です。支援機関から配付された栄養補助食品を頼りにしています。ラシールちゃんはもうすぐ幼稚園に通い始める年齢で、夏服や靴だけでなく、お絵描きセットや絵本もとても喜んでくれたそうです。特に絵本は、ご両親に何度も読んでほしいとお願いしているそうです。
今回の夏の衣料品セットの配付は、イスラム教徒にとって大切な祝祭であるイード・アルアドハー(犠牲祭)の直前に行いました。戦争以前、イードは子どもたちにとって、新しい服を買ってもらったり、親せきが集まってごちそうを食べたり、お小遣いをもらえたりする日本のお正月のような特別な時間で、子どもたちはイードが来ることを待ちわびていました。しかし、20か月以上も続く戦闘で、子どもたちはイードを忘れかけていました。そこで、少しでもイードの喜びを感じてもらい、わずかでも希望を届けたいとの想いを込めて、衣料品セットを届けました。
命に関わる病気を抱えている子どもたちにとって、衣料品セットは、一見ささやかなものに見えるかもしれません。しかし、複数回におよぶ退避や困窮生活という深刻なトラウマを経験している子どもたちにとって、安全な場所で自分の好きな服や靴を選び、絵本やお絵描きで楽しいひと時を過ごすことは、心の大きな支えになります。
子どもたちに可能な限りの支援を届け、少しでも戦争前の日常を取り戻し、子どもらしい時間を過ごせるように-。皆さまには、今後とも温かいご関心とご支援をお寄せいただけますようお願い申し上げます。
(パレスチナ事務所)
*この事業は皆さまからのご寄付により実施しました。
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