PARCIC

インドネシア中部 スラウェシの地震・津波被災者

仮設住宅の屋根材がもたらしたもの

パルシックが支援した木造の仮設住宅を訪れる際、スタッフは「日中、室内は暑くないですか?」と住民に話しかけます。「全然暑くありませんよ。その代わりに、日中も過ごしやすく、昼寝もできるほどです」との答えがよく返ってきます。

仮設住宅の屋根材はサゴ椰子の葉で出来ており、古くからインドネシアの伝統的な家屋で用いられてきましたが、現在では家屋にほとんど利用されなくなりました。時代の流れとともにコンクリート造りの家が一般的になるにつれ、伝統家屋は社会的地位が低く見られるようになったからです。

2018年9月28日、地震、津波そして液状化現象が中部スラウェシ州のパル市、シギ県、ドンガラ県を中心に襲い、多くの家屋が崩壊し、多くの人びとが犠牲になりました。

震災発生から1年が経ち、多くの家屋が再建され始め、パル市郊外や村ではサゴ椰子葉の屋根材を使った家が見られるようになりました。この屋根材はより安全で、涼しく、容易に入手でき、安価でもあります。屋根が壊れても住民自身で簡単に修理できます。

サゴ椰子の屋根材の作り手は、震災を機に市場を取り戻しました。葉の質や種類、サイズによって値段は異なります。村人によると成葉の場合は12年くらい、若葉であれば5年~8年くらいもつそうです。屋根材は層が多いほど価格が上がり、両側2枚重ねのものは一番丈夫で、一般的に屋根材として使われます。

サゴ椰子の葉で出来た屋根材

サゴ椰子の葉で出来た屋根材

両側2枚重ねの屋根材(見にくいですが)

両側2枚重ねの屋根材(見にくいですが)

屋根材が屋根に置かれた様子

屋根材が屋根に置かれた様子

これらの屋根材はパルシックの事業地及び周辺の村で作られており、被災者でもある村人たちもサゴ椰子の葉の屋根材を売るために作り始めました。人によっては副収入になったり、主な収入源になったりと、これらの屋根材は様々な恩恵をもたらし、村の経済復興にもつながっています。

社会的に低く見られていたサゴ椰子の屋根材を使った家屋が、家の壁に絵を描いたり周りに花壇を置いたりすることで、美的なものに生まれ変わることを村人たちは徐々に気付き始めました。昼夜家で快適に過ごせ、庭や柵に美的要素を加えることによって、サゴ椰子の葉の家はとても温かみがあり、美しくもあり、そしてかっこいいものに見え、被災住民たちにとってまさに「我が家」と思える仮設住宅になりつつあります。

(スラウェシ事務所 ヒロニムス・ゲス)

※この事業はジャパン・プラットフォームの助成とみなさまからのご寄付で実施しています。

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