実りを願って~本番を迎えるコーヒー収穫~
- 活動レポート
国際的にコーヒーの市場価格が高騰しています。気候変動や温暖化に、世界中のコーヒーの木や生産者が翻弄されている様子が伝わってきます。
東ティモールでは、昨年9月からのコーヒーの開花時期には天候に恵まれ、今年はコーヒーの実のつきがよさそうだと言われてきました。4月には標高の低い産地で早々と収穫が始まりましたが、その後、6月になっても雨に降られ、収穫や乾燥作業は天候に左右されています。

雨天で家の中に保管していたパーチメントを見せてくれるエルメラの生産者
カフェ・ティモールの産地、標高の高いマウベシでは、7月に入ってようやく晴れ間が出始め、青くたわわに実ったコーヒーがお日さまにあたって一気に赤く色づくのではないか、と期待しているところです。同時に長引く雨で集落に続く道はぬかるみ、コーヒーの収穫準備に加えて、コーヒー集荷の車両が入ってこられるよう道路整備の作業も発生しています。

雨でぬかるんだ道
マウベシ・コーヒー生産者組合(コカマウ)では、2019年から取り組んできたコーヒー畑改善事業の成果が、今年こそは収量に現れることを期待しています。実際に手入れの行き届いた畑を歩いてみると、枝一杯に実がついていることが確認できます。伸び放題のコーヒーの木は高い枝にしか実がつかないのに比べると、違いは歴然です。

中央にいるスタッフの左側には伸び放題のコーヒーの木が並ぶ。そして右側が手入れし、背丈くらいに木の高さを揃えたコーヒー畑

手入れの行き届いた畑の中に入ると、すべての枝にびっしりとコーヒーの青い実が
6月のコカマウ代表者会議では、今年のコーヒー価格を決定しました。東ティモールのコーヒー生産量は世界のコーヒー生産量の0.2パーセントほどしかなく、国際市場価格に影響を与えることはありません。しかしながら、東ティモール国内でのコーヒー買取価格は、国際市場に連動して上下動してきました。今年は昨年よりも高い価格で合意し、生産者たちは晴れやかな笑顔で帰っていきました。
生産者が納得のいく品質のコーヒーを少しでもたくさん作れるよう、パルシックでは毎年、雨よけ付きの乾燥台を生産者に提供しています。今年も60世帯への資材配付と設置をおこないました。これから本番を迎えるコーヒー収穫期。天候が味方してくれることを祈っています。

雨よけ付きの乾燥台

雨よけの下で乾燥中のコーヒー豆。乾燥台にはネットを張っているので通気性がよく、悪天候でもゆっくりと乾燥が進む
(東ティモール事務所 伊藤淳子)