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#6 紅茶が日本に届くまで

  • 活動レポート

前回の紅茶便りでは、デニヤヤのアールグレイ紅茶がパッケージされるところまでをご紹介しました。今回は、商品をスリランカから日本へ届けるまでをご紹介します。

スリランカにとって紅茶産業は、雇用吸収のための大切な産業であり、外貨獲得手段としても重要な産業です。そんな紅茶産業は、イギリス植民地時代は植民地政府によって、独立後はスリランカ政府によって徹底して管理されてきました。現在、世界の主要紅茶生産国のひとつとして、紅茶生産、売買、輸出・輸入についての管理が、スリランカほど整っている国は他にないといわれています。

スリランカ国内で生産された紅茶の90%以上は、非常に洗練された(外部からのぞくと非常に複雑な)オークション・システムで取引されています。簡単に言うと、紅茶加工工場や茶園はブローカーに紅茶を売り、毎週2回開催されるオークションでブローカーは一番の高値をつけたバイヤー(多くの場合、紅茶輸出会社)に対して紅茶を売る、という形です。ちなみに、このスリランカのオークションは、単一商品(つまり紅茶だけ)を扱うオークションとしては、世界最大規模といえるそうです。ただし、全ての紅茶がオークションで扱われるわけではなく、扱われる紅茶の量は圧倒的に少ないです。

他にも色々な方法があります。例えば、紅茶加工工場がブローカーを通さずに直接紅茶輸出会社に売ることも可能ですし、紅茶加工工場が直接海外に紅茶を輸出するということも可能です。大事なことは、どのような方法でもスリランカ国内で生産・売買される紅茶は、すべて政府の紅茶局に書類と紅茶のサンプルを提出し、承認を受けないといけないということです。スリランカ産紅茶は、セイロン・ティー、高級紅茶、としてのブランドを世界で築いてきました。そのブランド力を維持するために、紅茶の品質管理が徹底されているのです。

前置きが長くなってしまいましたが、デニヤヤのアールグレイ紅茶はオークションを通さずに、ダイレクト・セールという紅茶加工工場から輸出会社へ直接紅茶を送る方法を採用しました。最初の輸出だったので、紅茶局への書類やサンプル提出、認可に予想外に時間がかかり、ここで1カ月ほど要しました。3月初旬には日本へ届いているはずの紅茶たちが、2月末までこの手続きのために、コロンボで待ちぼうけしていました。ともあれ、2月末には無事にコンテナに詰めて、コロンボの港から旅立ちました。

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コンテナに詰めて、扉を閉める直前。紅茶輸出会社の倉庫責任者スバシンハさんと筆者

さて、コロンボ港を旅立った紅茶を載せた船は、一旦シンガポールに寄港しつつ、3月後半には日本に着きました。日本での税関検査などを無事通過し、コンテナから荷物を出すまでにコロンボ港を発ってからから24日間かかりました。日本の港の倉庫では、コンテナを開けた瞬間、アールグレイの爽やかな香りが辺りに広まって、倉庫管理のおじさんたちに好評だったとか。日本にたどり着いた紅茶は、常温で湿度管理された倉庫で保管され、出荷されるのを待っています。

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倉庫で保管されている紅茶

ところで、デニヤヤのアーグレイ紅茶には、シンボルマークとしてクジャクのシルエットを使っています。デニヤヤ周辺の茶畑や田んぼではしばしば野生のクジャクが見られます。雄のクジャクが羽を全開に広げている姿はとても美しいです。ただし、このクジャクは本来は森に住んでいたはずなのに、人間による森林伐採などが原因で畑に出てきているのです。デニヤヤの有機紅茶プロジェクトでは、クジャクを含め森林に住む動植物にも優しい周辺環境への負荷を抑えた農業の普及を目指していることから、クジャクをシンボルとして採用しました。

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輸送用の段ボール箱にもクジャクのマーク

(スリランカ デニヤヤ事務所 高橋知里)

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