能登インターン日誌 Vol.2 能登の人びとと彼らがもつ知恵
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こんにちは、インターンの伊東です。
能登での生活が始まってから、早くも2か月が経ちました。
8月に入ってから久しぶりに雨が降り、田畑の渇水に悩まされていた農家さんには嬉しい一方で、少しでも雨の強さが増すと、地震による地盤沈下のために、海面と道路がすれすれになってしまった地域では、すぐに道路の冠水や床下浸水などの被害が出てしまい、最近の極端な天候に困惑する日々です。
さて、今回は、これまでの能登での滞在中に感じてきた人びとのもつ豊かな知恵や生活について共有したいと思います。
仮設に住んでいる方や、地域の方を対象に、様々なサロンが開かれていますが、先日よもぎオイルを作るサロンに参加してきました。よもぎオイルに使う材料は、よもぎと白ごま油のみ。この2つの材料を揃えるだけで、100パーセント自然由来のよもぎオイルを作れることが驚きでした。乾燥肌やアトピー、冷え症、傷や痛みなど、効能がたくさんあり、さらには美容液やヘアオイルとしても使うことができるそうです。
化学成分を含んだものが当たり前になり、日々私たちが肌につけるものや口にするものの安全性が問われている現在、そうした自然由来のものを暮らしに取り入れることの大切さを感じさせられ、またこうしたよもぎオイル作りは、自然の恵みに目を向ける良い機会になると感じました。
他にも、雑草としてあしらわれがちなドクダミやスギナでもオイルを作れることを知り、いつか作ってみたいと思いました。

よもぎオイル作りのサロンに参加したときの様子
また、なごみで一緒に働いている地元の方に、シュロという葉で作るバッタ作りを教えていただく機会がありました。シュロの葉自体を初めて知りましたが、細長くて丈夫な特性があり、シュロの葉でなければならない理由が分かりました。教えてくださった方はとても器用に、あっという間にたくさんのバッタを作り上げていき、彼女の手先の器用さに感銘を受けました。しかしながら、いざ自分が作ってみるとなると、とても複雑で難しく、最後まで自分の力で作るにはもう少し練習が必要そうです。

バッタ作りの様子
また、別の日には、なごみに来られるお客さんにクラフトテープで作る金魚と箸置きの作り方を教えていただきました。その方は、退職後に娯楽として、クラフトテープでカゴなどのものづくりを始めたそうですが、今では定期的になごみに来て、周りの方々にもその作り方を教えており、人から人へとその作り方が広がっていくのがとても良いなと感じました。実際に作ってみると、金魚は不器用な私には難易度が高いと感じられましたが、箸置きは子どもでも簡単に作れそうでとても楽しく作ることができました。

クラフトテープで作った金魚と箸置き
最後に、7月末から始まった農家さんでのお手伝いについて少し紹介したいと思います。私が農業のお手伝いをしているのは、主にお米と梅を育てている「梅茶翁」さんという農家さんで、震災前は宿泊施設としてもお客さんを受け入れていました。
梅茶翁さんは自然栽培を実践していて、能登の元々あるきれいな川や自然を汚さず、できるだけそのきれいな状態で残し続けるためにも、農薬などの化学肥料を使わない農業をしています。
これまでに、薪をスイス積みという、円状に積み上げていく作業や、梅の天日干し、田んぼの雑草刈りなどを体験しました。農業に携わった経験はありますが、ここではまた異なる色々な食物の栽培や、自然に優しい暮らしに触れられることにとても喜びを感じています。今後も、自然はもちろん、季節ごとに変わっていく農作業も楽しんでいきたいと思います。

薪のスイス積み

梅を天日干ししている時の様子
今回ご紹介したように、私に様々なことを教えてくださった方々も、初めから知っていたのではなく、誰かに教えてもらったとお話していて、人がもつ技術や知恵が人から人へ伝わり広がっていくのを目にして、とても素敵なことだなと思ったのと同時に、私も教えていただいたことをただ自分の内に留めておくのではなく、伝えていけたら良いなと感じさせられる体験でした。そして、能登に住む方々の持っている生きるための術を私もゆっくりと、そして少しずつ身につけていけたら良いなと思っています。
(能登事務所インターン 伊東瞭)