能登インターン日誌 Vol.1 自然と人とのつながりが息づく土地で
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はじめまして、6月から能登事務所にてインターンの活動をしている伊東瞭(いとうあき)と申します。
これから半年間、能登での活動を通して感じたこと、考えたことなどをこちらに記していきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
早速ですが、皆さんは能登にどのような印象を持っているでしょうか?恥ずかしながら震災が起こるまで能登のことをよく知らなかった私は、頭のどこかで能登=被災地といった負のイメージが能登に対する印象を大きく占めていました。しかし、この一か月間の滞在を通して、その勝手なイメージが払拭されることになりました。能登には驚くほど豊かな自然と他の地にはない独自の文化、そして、日々の暮らしの中には、自分の畑で採れた野菜などを近所の人にお裾分けし合うというような物々交換など、昔から続く人との繋がりが今もなお残り続けていました。能登は、人と人との関わりを大切にする、そして自然が大好きな私にとって、とても魅力的な場所でした。

能登町の隣町、穴水町から見た海
今回インターン活動を開始するにあたって設定した目標の中に、想像力をもって活動をするというものを掲げましたが、正直なところ、震災前の能登を知らない私にとって、被害の全容やその深刻さを想像することは簡単ではないと感じています。一方で、車を運転していると道路が歪んでいたり、土砂崩れにより未だに道路の片側が通行不可で片側交互通行の場所が多くあったり、電柱や標識が傾いていたり、特に珠洲では海岸の隆起が顕著で、元々使われていた道路やトンネルが通れなくなってしまっていたりと、震災がもたらした影響はまだまだ見られ、復興への道のりが遠いことが見て取れるのも事実です。いかに当時の被害の状況やその被害が人々に与えた影響を、想像力をもって考えられるかが今の私にとって課題だと考えているところです。

珠洲市内にて。海岸がかなり隆起している
そんな私が、この1か月間どのような活動を行ってきたかというと、被災した能登町の施設「なごみ」で運営しているランチやカフェのお手伝いをメインに、復興マルシェでのカフェやワークショップ、子ども食堂の運営などを行いました。さらに、なごみの外での活動として、輪島にある重蔵神社での物資配付や、災害で汚れた写真の洗浄をしている「あらいぐま」さんの活動に加わらせていただき、写真洗浄など様々な活動を行いました。最近では、7月4、5日に能登町宇出津で開催されたあばれ祭りで、キリコを担ぐという貴重な経験をすることができ、濃い1か月を過ごすことができたと思います。
今回はこの中から3つの活動について具体的に説明したいと思います。
まずは、メインである、なごみでの活動についてです。なごみでは、厨房やレジでの仕事に加え、卓球をしに来られるお客さんに交じって一緒にプレーさせてもらったり、百歳体操に参加された方々とお話したりなど、お客さんと交流することもあります。また、6月27日に開催した子ども食堂では、子どもから大人まで幅広い年齢層の方が来てくださり、皆がニコニコ楽しそうに談笑しながら食事をしている様子を見ていて、とても嬉しく、この活動の意義を実感することができました。

6月27日に開催した子ども食堂。多くの人でとても賑わいました
また、なごみの外での活動として、珠洲市にある大谷小中学校の仮設住宅を訪問し、あらいぐまの皆さんと写真洗浄の活動に参加しました。写真洗浄はその名の通り、地震や豪雨などによって水や泥で汚れた写真を洗浄する活動で、ティッシュやウェットティッシュにエタノール水溶液を吹きかけ、一枚一枚丁寧に時間をかけて汚れを落としていく作業を行います。そしてただ汚れを落として終えるのではなく、預かった時の順番のまま、アルバムに入れてお返しするという作業が個人的には心にグッとくるものがありました。また、洗浄中は他のボランティアの方や仮設に住むご高齢の方々との会話も楽しめるのも、写真洗浄の良いところだと感じました。
大谷小中学校の仮設集会所にて行った写真洗浄
そして最後に、あばれ祭りについて少しご紹介させてください。昨年もあばれ祭りは開催されましたが、今年は震災後、初めて、全町会のキリコが参加出来たと聞きました。地元の方によると、年末年始は帰省しなくても、お祭りに合わせて帰省する人が多いというお話もあるほど、地元の方々がお祭りに懸ける思いは大きく、お祭りの意義を強く考えさせられた2日間でした。私自身、キリコを担ぐという貴重な経験をさせていただきましたが、激しく燃え盛る松明の周りを、火の粉を浴びながら担いだことが非常に良い思い出です。また、選ばれた約80人の黄色いタスキを付けた男性たちが、神輿を火や川の中に投げ入れ、荒々しく打ちつける場面もとても迫力があり、圧巻でした。あばれ祭りを見たことのない方にはぜひ見に来るのをお勧めしたいです!

あばれ祭りの様子。激しく燃える松明の周りを多くのキリコが囲んでいる
振り返れば、あっという間の1か月間でしたが、2か月目も様々な活動を行い、有意義に過ごしていきたいと思います。
(能登事務所インターン 伊東瞭)