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[開催報告]一問一答パレスチナ!~その疑問、直接尋ねてみませんか?~第2回家族編

こんにちは。パルシック東京事務所インターンの久保です。

2020年9月19日(土)に行われました【オンライントーク一問一答パレスチナ~その疑問直接尋ねてみませんか?~第2回家族編】についてご報告させていただきます。

当イベントは、パレスチナの家族や家族を取り巻く環境について、前回同様まずパレスチナの基本情報と歴史を動画で学び、その後パルシックパレスチナ現地スタッフとリモートビデオをつないで参加者からの質問について答えるというものでした。

第2弾も前回のライフスタイル編に引き続き、パルシック西岸事務所のプロジェクトコーディネーターでラマッラー出身ヤラ、同じくガザ事務所のプロジェクトマネージャーでガザ出身のサハル、現地駐在員の盛田、関口と共にお送りしました。

では、イベント事前に参加者から募った質問とそれに対する回答を見ていきます!
サハルやヤラに対するパーソナルな質問からパレスチナにおける家族の在り方など多岐にわたる質問が挙げられました。
(以下、筆者訳)

Questions

Q1:パレスチナでは長男が家を継ぐの?娘しかいない場合は入り婿をとる?

サハル「一般的には長男が家を継いでいきます。もし息子がいればその家系は絶えることはありません。アラブ諸国では家族が連なっていくことは非常に大事なことだと考えられています。長男でなくても家を継ぐことはでき、次男や三男が継承することもあります。一般的に家族の名前を継ぐのは息子で、その家の財産や遺産は長男が継ぐことが多いです。」

「娘さんが入り婿をとることはレアケースです。息子がいない場合、名前は途絶えてしまいます。そのため、近年減りつつあって稀ではありますが、もし妻になかなか息子が生まれない場合、第二婦人をとることもあります。どうしてもその家族に男性が生まれない場合は、途絶えても仕方がないと捉える人も多いです。」

「パレスチナでは、大家族が多く、家族人数の平均が5,6人となっています。そのため、家が継承されないということ自体が珍しく、大体の場合長男または息子に継承されます。中には男の子が生まれるまで出産を続ける女性もいます。自分に男の子が生まれないことをプレッシャーに感じる女性も多いかもしれません。」

Q2:スマホは何歳から持つの?

サハル「ふつう子どもは学校にスマートフォンなどのモバイル携帯用品は持ち込んではいけません。しかし、学校以外に外に出かける場合や遊びに行く場合は親が一時的に持たせることもあります。多くの子どもは高校卒業のタイミングに合わせて17,18歳ほどでスマートフォンを持ち始めます。パレスチナにおける成人は18歳です。私自身も4人子どもがいますが、18歳になってから高校卒業祝いとしてスマホを与えました。」

Q3:大学で英語を学んだ際に苦労したことは?

サハル「私は9歳のころに英語を勉強し始めました。いつも勉強するように心がけていたので、英語は得意でした。12歳のころには英語で夢を見るほどでした。また、結婚し出産してから大学で遠隔授業で英語を学ぶ環境は、とても挑戦的でした。英語を学ぶことはとても大好きでとても楽しかったのですが、4人の子どもを育てながら大学で勉強することはとても大変でした。」

Q4:サハルの16歳での結婚は恋愛結婚?16歳という早い時期での結婚は嫌ではなかった?

サハル「私は13歳の時にいとこと婚約しました。彼が私に恋をしていたからです。彼は私の父親に私との結婚を求めました。でも私は学業に集中したかったのもあり、結婚はまだ早すぎると感じていたためとても戸惑いました。父は私に判断を任せました。結局私は卒業後、そして16歳になって自分のIDをもらってから結婚することに決めました。当時は正直、恋愛や結婚についてまだよくわかりませんでしたが、パレスチナでは若い年齢での結婚は一般的であったのでそれに対する理解はありました。」

Q5:パレスチナでは夫婦は共働き?

サハル「一般的には、父親が稼いで家族の生計を守る責任があると考えられています。しかし、近年パレスチナでは生活費の高騰によって生活するのに必要な経済力は高まってきており、母親も働く人が多くなってきました。生活費は非常に高く、多くの子どもを養い、育て、より良い生活を企てていくには女性の就労も必要になってきているからです。また、男性も働く女性を好む傾向になってきています。」

ヤラ「男性が恋人に求める条件として、以前は外見や容姿を重視する部分が多かったのですが、女性が働いている、というのを恋人の条件にしている男性も今では増えています。」
※パレスチナ、特にガザ地区の失業率は47%を超える。

Q6:宗教において、家族の中で父親が超正統派で母親が世俗派なことはあるの?

サハル「社会的階層、背景、文化的価値観のもとに結婚をすることが多いので、超正統派と世俗派の結婚はまれです。パレスチナは宗教的には超正統的でもなく、超世俗的でもない中間の位置です。そのため一般的なパレスチナ人は超正統派でも世俗派でもどちらでもなく、自分の信仰スタンスに合わせてイスラム教を信仰している割合が多いので、宗教の信仰度合いをこだわる人もまれです。」

Q7:家族の中で宗教が違うことがある?

ヤラ「西岸の場合、イエスです。ムスリムは他宗教(アブラハムの宗教(ユダヤ、キリスト、イスラーム))の人と結婚することは可能です。パレスチナのパスポートはとても弱いので、子どもに良い環境を与えてあげたいといった理由や外国籍やパスポート、ビザの取りやすさを考慮して他宗教の人(外国人)と結婚することもあります。海外での就労の際や留学の土地で出会った人と滞在先で結婚することも多いです。私の叔父はクリスチャンの女性と結婚しました。いとこはシーア派の男性と結婚しました。祖父は激怒しましたが経済的な状況が良いなどの理由で家族に了承されました。」

「しかし、ムスリムが結婚した相手方の宗教に改宗することはムルタードと呼ばれ、宗教的にタブーとされています。家族の中に改宗した人がいる場合、その人を勘当する場合もあるほどです。改宗した人の決定は家族の総意ではなく、もう家族ではないと絶交してしまうこともあります。これが厳しすぎると考える人もいるかもしれませんが、パレスチナでの家族間のつながりと宗教はとても深いつながりがあるので、大変重要視されています。ムルタードがひとり家族に出るだけで、その姉妹や兄弟にも社会的に蔑視され、ほかの子どもの結婚に影響することもあるので、この決定はとても重大なのです。」

Q8:政治的な問題があっても人としては好きだったり、婚姻関係になったりすることはありますか?

ヤラ「政治的な意見の違いがあるということで友人関係を築くことは問題にはならないですが、結婚という形になると話は別です。パレスチナには、ハマース党、ファタハ党という二大政党があります。この2党は戦闘になって死者が出るほど揉めた政党同士です。とくに結婚においては、前提として、相手の宗教やどの政党を支持するかなどの政治的意見、経済的状況をチェックします。」

「パレスチナにおいて政治的なことを話し合ったり、討論したりすることは日々の日常生活に根付いていることであって、政治的意見が極端に異なる人と結婚することは、今後の生活に支障が出てきてしまいます。そのため結婚に関しては、双方の政治的な意見の違いは問題になることがあります。」

Q 9:日本はどんな国だと思う?

サハル「まず、2018年に日本に訪れたことがあるのですが、ガザから出るのは非常に困難なので、初めての海外旅行で日本に行くことができたのはとても幸運でした。」

「パレスチナでは日本のことを“PLANET OF JAPAN(日本という惑星)”と表現することがあるのですが、それには『惑星ぐらい異なる文化を持つ国、違う惑星にいる人』という意味があります。パレスチナ人にとって日本という国はそのくらい遠い国だと認識していることが良くわかると思います。」

「私にとって日本人はルールに厳しくて規律的というイメージがありました。しかし実際日本を訪れてみて、皆大変礼儀正しく働き者で親切だと知りました。女性は化粧も薄く、肌がとてもきれいなので内心の美しさを反映しているような気がしました。また、日本の食文化も大変気に入りました。日本の秋の紅葉や自然もとても美しくとてもリフレッシュできました。」

Q10:パレスチナと日本はどういった関係を築けたらと思うか?

サハル「日本は自然災害や地震にとても多く見舞われていたり、歴史を振り返れば第二次世界大戦中の広島や長崎での原爆であったりと苦難の歴史を歩んできているのを知っています。ガザ地区やパレスチナも同じような状況にあるので、今や日本が世界トップクラスに成長し発展した経験や知識を、パレスチナにも還元してほしいと考えています。」

「日本にいた際に、日本人一人ひとりに何ができるかについてたくさん質問を受けました。日本の皆さんには、私から得たガザやパレスチナの情報を広く発信してほしいと思っています。私たちがどのような状況にあるのか、もっともっと広く知ってもらうためにより一層のサポートや理解を期待しています。今回のこのような機会に私から得た情報も人からひとへ発信していってほしいです。」

Extra Edition~パレスチナの伝統的な遊び~

Bananir(バナニール)|マーブルボール

一番有名で伝統的な遊びです。親指と人差し指をつかってビー玉をはじきます。相手のボールをはじいて点を取るという遊びでルール自体はビリヤードに類似しており、日本でいうビー玉遊びに近いです。

Bananirをしている人びと

Taq Taq Taqeya(タグタグタギーヤ)|郵便屋さん

帽子または布切れをもち、円になっているひとりの子を選んでその子の後ろに布切れを落とします。その子がいかに素早く気づき布を落とした子にタッチできるかを競うゲームです。日本のハンカチ落としと大変よく似ています。

Taq Taq Taqeyaで遊ぶ子どもたち

What I think about the interview ~家族のカタチ~

今回、家族というテーマでパレスチナについて学びましたが、 人の数だけの家族のカタチがあり、その形は様々です。
パレスチナではQ1での質問の答えにあったように、あくまでも男性が家と苗字を継いでいくことが一般的でありますが、しかし近年は以前ほど、長男継子にこだわらなくなっており、男子が欲しいために第二婦人をとる男性が減りつつあるなどしています。

このようにパレスチナに限らず、日本も同様に家族のカタチは時を経て変容しています。

本イベントを通して、パレスチナの家族は、結婚や子どもなどの観点から、宗教が密接に関わっていたり、歴史的な影響から政治に対する姿勢が大きな意味を持っていたりすることが分かりました。日本から約9,000キロ離れた西アジア地域の1つであるパレスチナですが、今回のように「家族」というアングルで見つめることで、パレスチナという国をより身近に感じることができた貴重な機会になりました。

(東京事務所インターン 久保裕花)