PARCIC

東ティモール

バイオガス設置進む ~薪使用量を減らし森林保全へ~

「山間部農民の生計向上事業(2年次)」(外務省ホームページ)では、薪に代わる調理用のエネルギーとして、バイオガスの導入を始めています。家畜の糞を原料としてメタンガスを得るバイオガスですが、導入当初は、発酵槽を設置するためにかなり大きな穴を掘らなければならないなどの重労働や、原料となる家畜の糞を定期的に確保しなければならないことがハードルとなり、設置に対して消極的な参加者が見られました。

そこで、私たちは他集落で既に稼働しているモデルプラントの見学会を実施したり、バイオガスの有用性を説明するなどして参加者の理解が得られるよう努め、現在までに3集落で合計30基を設置しました。設置後は、適切に管理しているか、正常に稼働しているかなど担当スタッフがモニタリングを行い、その結果既に設置したプラントの半数以上からガスが発生し、調理に利用することができています。また、副産物として液肥も生成することができるため、その液肥を使って野菜栽培に利用する予定です。

バイオガスモデルプラントの見学会

バイオガスモデルプラントの見学会

 

原料投入後約1ヶ月で、ガスが発生し、調理に利用することが出来る

原料投入後約1ヶ月で、ガスが発生し、調理に利用することが出来る

 

副産物として生成される液肥。貴重な肥料分として、野菜栽培への利用を勧めていきたい

副産物として生成される液肥。貴重な肥料分として、野菜栽培への利用を勧めていきたい

2014年5月22日、マウベシ郡役所や農業改良普及員、コミュニティーラジオを招いて、バイオガスの見学会を開催しました。設置者の一人シルビーノさんは、「パルシックとともにバイオガスを設置し、薪を使う量を減らすことができた。雨の日でも薪が濡れる心配をする必要がなく、いつでも調理できる。薪を使うと煙がひどいが、バイオガスの火は煙が出ないので、とてもいい。」と、招待者へ伝えました。

バイオガス見学会の様子

バイオガス見学会の様子

 

招待者へバイオガスの効果を伝えるシルビーノさん

招待者へバイオガスの効果を伝えるシルビーノさん

2002年の独立以降、東ティモール国内の他の場所でもバイオガスを設置していますが、その多くが稼動を止めています。色々な理由があると思いますが、その一つとしてバイオガスプラントの規模が大きすぎることが考えられます。

現在、パルシックが設置を進めているのは、1世帯向けの小規模で簡易なものであり、材料はプラスチックを利用しているため、安価に作成することが出来ます。作成費用は、東ティモールの物価で約2万円程度です。しかし、大規模プラントはコンクリートを材料とするため、プラスチック製に比べて容量にして約3倍、建設費用にすると約10倍もの規模になります。そして、管理、修理が難しいというのも理由の一つと考えられ、簡易式バイオガスを稼働させるのに、1日に投入する原料は、牛糞だと牛1頭分で4人家族が1日生活するのに必要なガスを得ることが出来ますが、規模が大きければ原料もそれにあわせて必要となります。

原料の家畜糞を運ぶ手伝いをする子供たち

原料の家畜糞を運ぶ手伝いをする子供たち

携帯電話が急速に普及し、これまで無料だった電気代に対してメーターの設置が進み、電気料金の支払いがはじまるなど、マウベシの状況も日々変化しています。しかし、当事業で取り組んでいる森林保全型農業と農民の生計向上は、いまだ重要課題です。バイオガスの設置を進めることで、薪の使用を減らし、森林保全につなげていきたいと思います。

(東ティモール事務所 宮田悠史)