PARCIC

コーヒー生産者支援

ヴィセンティ・マリア・ソウザさん

ハトゥカデグループの会計を担当しているヴィセンティさんは、バリトンの声がとっても魅力的。ひと回りも年下の妻ロザさんとの間に上は21歳から下は5歳まで、11人の子どもがいます。おしゃべりな代表、富農の副代表と並ぶと寡黙なヴィセンティさんの頼もしさがなぜか引き立ちます。毎年メンバーに提出を義務付けている生産者アンケートは、文字の読み書きのできないメンバーから聞き取ってヴィセンティさんが代筆します。「メンバー一人ひとりを探して家まで行くのは大変」といいながら、美しい筆致でどこよりも早くアンケートを提出してくれます。

ハトゥカデ集落生まれのハトゥカデ育ち。生い立ちを聞こうと手始めにご両親の名前を聞いたところ、11歳のときにお母さんを亡くし、実父は後妻をとった、ヴィセンティさん自身は祭りごとに差し出す財産の代わりに親戚に差し出され養父母のもとで育った、と大変に複雑。理解力がついて行かずに断念しました。

組合に加入する前と比べて生活に大きな変化はないけれど、コーヒーについてはだいぶ変わったといいます。「以前は家の近くまで買いに来る仲買人にパーチメントで売ったり、チェリーを村の中心まで運んで売っていた。いまは自分たちの組合があるから近くで計量できるし、遠くまで重たいコーヒーを担いでいかずに済む」。運営については慎重です。雑貨屋を建てようという副代表の強い呼びかけを表向きは支持しながら、メンバーやパルシックに「雑貨屋に資金は出さない方が良い」と根回しをし、コーヒー収穫終了後の農業資金としてメンバーに30ドルずつ貸付けるという別案を通しました。

妻のロザさんはハトゥカデ女性グループの代表を務めています。はちみつやハーブティの生産を通じて女性たちが集えることが楽しいといいます。ロザさんの出向くところには常に寄り添うヴィセンティさん。美しすぎて疑いたくなるほどですが、ハトゥカデからマウベシまで歩いて4時間「遠いから」という理由でほかのメンバーの夫ではなく必ずヴィセンティさんがガード役で付いてきます。女性が出ていく用事が増えるとどうしても気になるのは夫の理解です。「女性グループのほうはようやく軌道に乗って来たかな」と評価をするヴィセンティさん。家を空けることが増えて大変ではないですか、との問いに「教えてくれることは学んだ方が良い、女性でも」とためらうことなく答えました。ヴィセンティさんの夢は、道路や水へのアクセスの良いところに家を建てること。「これからもコーヒーはずっと送り続ける。わたしたちの状況につねに関心を払い続けてほしい」とのメッセージをいただきました。

(2011年10月)