PARCIC

東ティモール

生産者協同組合 自立への道 [前編]

これまで断片的にしかお伝えしてこなかったコカマウの状況について、すこしまとめて書いてみようと思います。

2011年2月に、コカマウの役員(当時)6名が組合資金4000ドルを山分けしたことが発覚しました。隠していたものが見つかった、というよりは、役員が堂々とそれを発表した、という方が正確です。同時に、各グループの代表者にいくら、事務局員にいくら、と数百ドル単位で渡していました。それらはすべて、一般組合員の関知しないところで決められていました。そして組合員には規定通り、2010年度の余剰金から出資金に応じた配当をしました。月々2ドルずつの預金を、頑張った人には22ドル、そうでない人には11ドルでした。

協同組合が数人の役員によって私物化されていました。さらに役員たちは3万ドルの2011年度予算案を作り、パルシックに「プロポーザル」を提出してきました。2010年度末時点で、コカマウには2万5000ドルの資本がありました。活動計画を立て、予算案をつくるのは彼ら自身が組合運営を実践していくためであって、赤字にならないように・・・とヒヤヒヤする役員の議論に、こちらもヒヤヒヤしながら付き添ってきました。その結果、彼らが学んだことがこれなのか――と悲しくなりました。


2010年度決算報告をするシコさん
(2011年1月27日)

事務局長のシコさんは常々、2万5000ドルを「足りない」とこぼしていました。他の農民が聞いたら耳を疑うような発言ですが、全組合員からのコーヒーを買い付けるのに、2010年度で10万ドル以上のお金が動いていました。シコさんの実感はその通りで、毎年パルシックからの前払い金がなければコーヒーを買い付けることすらできない組合だったのです。だからこそ、資金を不当に使い込んだりしないだろうと信頼していました。なぜこの10年間固く守ってきた金庫の鍵を開けてしまったのか――。

振り返ると、それまで毎月支払われていた月70ドルほどの役員報酬が、2010年の途中から支払われなくなったことが思い当ります。これは、役員は組合活動が余剰金を生み出すほどうまく運営された際には規定の割合を役員報酬として受け取ることが出来る、というもので、「余剰金が出るかどうかも分からないのに毎月役員が報酬を得るとは何事か」という協同組合局からの指導に従ったものでした。「組合としての法人格取得!」と旗を振ってきた役員にとって、組合局の意見は呑まないわけにはいかない、しかしながら面白くない決断でした。

2010年度決算をしてみると、2500ドルちょっとの余剰金が出ました。規約通りに役員報酬を受け取ると一人当たり30ドル程度。この金額が分かった途端、「やってらんねぇ」と若い役員が会議場を出て行ったのが2010年12月のことでした。“余剰金が出ただけ立派”と呑気にとらえた私たちに気付かれないように、冒頭の決議が事務局長宅で開かれた役員会議で出されていました。組合から月100ドルの給与を受け取る事務局長シコさんは、“役員の決定に従って実務を行うのが事務局の役目”と、要求通りの金額を金庫から、銀行口座から引き出したのでした。