PARCIC

スリランカ

ムライティブ日誌#2 コクトルワイ村に残る地雷

井戸建設の事業を開始するにあたり、事業地の1村、コクトルワイ村は残留地雷のある可能性が高い地域である、と関係者の方々に指摘を受け、井戸建設予定地の残留地雷調査をしてもらうことになりました。普段、村人のみなさんが通っている道、生活を始めている土地は既に調査もされており危険性が低く、残留地雷がある可能性が高いのは、人が通らないジャングルや、まだ住民が戻ってきていない土地など。特に、内戦末期、政府軍とLTTEが境を接して争っていた地帯は、多くの地雷が残っており、地雷専門のNGOによる撤去作業が今も進んでいます。パルシックの共有井戸建設地も、多くは既に戻ってきた個人の方々の土地を提供してもらうのですが、作業の安全性を高めるため、一か所ずつ調査をしてもらいました。

パルシックの井戸建設予定地の位置をGPSで確認するFSDスタッフの方々

パルシックの井戸建設予定地の位置をGPSで確認するFSDスタッフの方々

コクトルワイ地域で地雷撤去作業を行っているスイスの団体、FSD(The Swiss Foundation of Mine Action)によると、彼らが2010年にコクトルワイで活動を始めてから、現在に至るまで、既に同地域だけで60,000個の地雷を撤去した、とのこと。今年9月までには、同地域での活動を終了したい、とのことですが、具体的にどれくらいの地雷が残っているのかは誰にも分からない、と、同団体のナショナル・ディレクター、ショーバンさんは顔をしかめます。

コクトルワイのジャングル・沼地の多くには地雷マークの看板が立っています

コクトルワイのジャングル・沼地の多くには地雷マークの看板が立っています

地雷の撤去作業は、帰還した人々、軍隊などから戦争中の情報を集めるところから始まります。インタビューによって得た情報をもとに、地雷原の可能性がある場所を特定、その後、実際に機械を使って地雷の有無を確認し、地雷原と確認されたら、人の手を使って、撤去作業を進めていきます。人の手による撤去作業は常に命の危険が伴い、一つ見付かったと思ったら、その真横にもう一つの地雷があることなどもある、とのこと。現在は、調査チームも含め、FSDのスタッフ約150名がコクトルワイ地域での撤去活動にあたっています。

パルシックムライティブスタッフのメンバーも全員で地雷のリスク研修を受けました

パルシックムライティブスタッフのメンバーも全員で地雷のリスク研修を受けました

地雷によるリスク回避のためには、村全体への危険性の周知も重要です。4月初めには、コクトルワイの学校で、地雷への注意喚起のためのキャンペーンが実施されました。キャンペーンに合わせて、子供たちにも分かりやすいよう、地雷危険地域には入らないように呼びかける村のジオラマが作成されていました。ある日私たちが村を訪れた時、村人のみなさんがちょうどその作業をしているところで、発泡スチロールや砂を使って作られたジオラマの、精巧な出来栄えに驚きました。このようにして、村の中での住民への日頃の注意喚起も行われています。

村のみなさんで手作り中のジオラマ

村のみなさんで手作り中のジオラマ

スリランカは、いまだ軍隊が占拠したままの土地も多いことなどから、他の紛争地域に比べると、戦争終結後の地雷による民間人の被害数は少ないそうですが、それでも、2012年、ムライティブ県では34人の民間人の被害者が出ており、そのうち2人が死亡しています。「地雷」は遠い国のことだと思って育った私にとって、事業地の草むらを歩く時は、その土地をよく知る村の人や、FSDスタッフの後を付いて歩いていても、正直なところ、いまだに少し足がすくみます。戦争が終わってからも、武器の危険と常に隣り合わせで人々が暮らす現実。北部のいたるところに存在する軍隊の基地だけでなく、このような部分でも、いまだに続く内戦の影響を実感します。

(ムライティブ事務所 伊藤文)