PARCIC

スリランカ

モロワッカンダで発生した大規模土石流

アーユーボワン(シンハラ語で「こんにちは」の意味)!

パルシックが家屋損壊被災者の支援事業を行っているデニヤヤ周辺では、ケガをした人はいましたが、幸いなことに人命に関わる大規模な土砂災害はありませんでした。しかし、デニヤヤより少し南にあるモロワカのモロワッカンダという山では大きな土砂災害が発生しました。20時間以上続いた豪雨によって、山の斜面の上の方から、土や石が水と一緒に土石流となってものすごい勢いで山の下方まで流れ、それに11軒が飲み込まれました。23名が亡くなり、そのうち10名の遺体しか見つかっていません。

私たちが現場を見に行った時に、被災者のヌワンさんがその時の様子などを教えてくれました。ヌワンさんのお兄さん一家は完全に土石流に飲まれてしまい、まだ遺体は見つかっていないということでした。ヌワンさん一家は土石流の経路のギリギリ外側に家があり、間一髪というところで助かったのですが、家屋は損壊し危険な状況なのでそこに住み続けることはできなくなりました。

 

この大災害を引き起こした直接の原因は長時間続いた豪雨です。しかし、土石流が発生したモロワッカンダ山の上の方では、ここ5年ほどの間に森林が急激に破壊されていました。というのも、森林の中にワッラパッタという香木として使われる木が生えており、それが乱伐採されていたのです。伝統的に香木に使われていた木が世界的に希少種として保護対象に指定され入手困難となり、その代用品として5年ほど前からワッラパッタが使われ始めたことが背景にあります。ただし現在、ワッラパッタに関わる取引のすべては(伐採も含めて)許可が必要となり、乱伐採はある程度抑えられています。

前回のレポートでお伝えした長年の単一作物栽培によって土壌が軟弱化した茶畑の土砂崩れと同様に、モロワッカンダの土石流も人びとによって自然の力を弱めてしまった結果として起こったという側面があります。伝統的にスリランカの人びとは、自然との調和を図りつつ、自然の力をうまく活用してきました。そして、自然災害の被害を大きくしているのが自分たちの経済活動であることを理解しています。政府はここ10年ほどの自然災害による被災者の急激な増加、経済的な被害を鑑みて、災害が起きてからの対処ではなく、地形や環境を詳細に分析して災害リスクを低減させる重要性を認識し、動き出しています。

 

ヌワンさんの家(写真右)が土石流の経路ぎりぎりの所に残っています。7月下旬現在、ヌワンさん一家を含めて16世帯が公共の施設で避難生活を続けています。

ヌワンさんの家(写真右)が土石流の進路ギリギリの所に残っています。2017年7月下旬現在、ヌワンさん一家を含めて16世帯が公共の施設で避難生活を続けています。

(スリランカ事務所 高橋 知里)

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