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スリランカ

#7 小規模紅茶開発局の専門家による茶摘み研修

アーユーボワン(こんにちは)。

突然ですが、『茶摘み』と聞いてどのようなイメージが浮かぶでしょうか?スリランカでは、朝霧の立ち込める中、タミル人女性がお茶を摘んでいる様子が典型的な茶摘みのイメージになっています。しかし、ここデニヤヤ周辺の小規模農家では茶摘みをしているのは、女性とは限りません。男性も同様に、もしかすると女性よりも男性がより茶摘みをしているかと思います。また、時間帯もまちまちで、朝7時頃から始めたり、お昼頃に摘んだり、と、それぞれの都合に合わせて茶摘みをしています。 

生産者グループメンバーのアニルさん茶摘み風景

生産者グループメンバーのアニルさんが茶摘みしています

もちろん、いつ誰が摘んでも構わないのですが、小規模農家の茶摘みには色々と改善しなくてはいけない問題があります。まず1つ目は、茶摘みの基礎である、次の芽が出やすい摘み方、摘んだ後の茎の処理方法をちゃんと実践できていないことです。そして2つ目は、1つ目とも多いに関連のあることですが、“一芯二葉摘み” が徹底されていないという問題です。2つ目の問題は、茶木の生育にも悪影響を及ぼしますが、さらに3枚目、4枚目の硬い葉や茎は、紅茶に加工した際に “ファイバー” などと呼ばれるゴミとなってしまうのです。

ちなみに、一般的にファイバーはダメな紅茶なので売れませんが、小規模農家が茶葉を売っている地域の工場では、ダメな紅茶として販売経路を確保しており、硬い部分の茶葉も小規模農家から購入してきています。こういった慣習があるため、生産者グループのメンバーたちもついつい出荷量を増やすために、茶木にはよくないと知っていても、3枚目4枚目の茶葉を摘んでしまうのです。

生産者グループのメンバーたちは、経験によって茶栽培を続けてきており、科学的な農業知識が不足しています。この傾向は、デニヤヤの農家のみの話ではなく、スリランカ全体において小規模紅茶農家の問題点としてずっと指摘されている話です。そこで、地域の小規模紅茶開発局の専門家インドリさんの協力を得て、9月末に生産者グループメンバーを対象に茶摘みセミナーを実施しました。

午前の部のお寺での授業の様子

午前の部のお寺での授業の様子。メンバーが自分の経験を話しつつ、授業が進みました

 

午後の部の様子

午後の部の様子。メンバーの家のベランダを借りて行いました

生産者グループを約10名ずつの4つのグループに分けて、そのうち2グループを対象に9月28日に午前・午後の部に分けてセミナーを行いました。まずは、お寺で理論編。茶摘みについてだけではなく、一般的な茶栽培の科学的知識を学びました。最初は聞いているだけのおじちゃんたちでしたが、途中からはどんどんとディスカッションの様相に。授業の後は、茶畑に行って茶木の生育を促す茶摘みの仕方を教えてもらいました。講師のインドリさんはデニヤヤ地域で農家を対象にこういったセミナーをよく開いており、普段聞き慣れないちょっと硬い科学的な用語なども、普段の農作業と具体的に関連を示しつつ説明してくれ、とても分かりやすかった、と参加者は言っていました。

長年の茶摘み習慣はすぐには改善できないものですが、なぜ適切な茶摘みが必要かの理由をメンバーが理解できたことで、少しずつ改善がみられることを期待しています。なお、残り2グループを対象としたセミナーも近々開催を予定しています。

 (スリランカ デニヤヤ事務所 高橋知里)