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スリランカ農村暮らしの日々[15]


[写真1] 隣近所総出の準備。我が家のターッタ(お父さん)も、もちろん毎晩準備に大忙しでした。

[写真2] 訪問者に振る舞う料理の準備も大仕事です。

[写真3] 右側に幕が掛かっていて、顔が見えないように座っている二人が今日の主役です。この幕は、儀式の途中から外されます。

[写真4] 狭い庭先で、踊り狂う呪術師。写真では分かりにくいのですが、イケメン3兄弟でした(笑)。

[写真5] この仮面は日本の鬼の仮面のようですが、他にもお爺さんとお婆さんなどの仮面を付けて、冗談や下ネタばかりの劇が続きました。

アーユーボワン(シンハラ語で「こんにちは」)。スリランカの南部の農村では現在でも、悪魔払いが盛んに行われます。民俗的な医療行為として行われることが多いようですが、私がいる村では雨乞いなどもあり、色々な目的があるようです。今回は、ちょうど私がホームステイをさせてもらっている農家の両親の家で悪魔払いが行われたので、その様子をご紹介します。

今回、行われた悪魔払いは、結婚してから随分時間が経ったが子供に恵まれない二人の女性のために、二人に憑いている悪魔を払って、子宝に恵まれるようにというものでした。悪魔払いを行う家では、3、4日前から準備に取りかかります。バナナの茎から器用に儀式に使う小物を作ったり、大きな板を組み立てたり。毎晩、夜遅くまで作業が続いたようです(写真1)。

悪魔払いの儀式は夕方から始まり、夜を徹して翌日早朝まで続きます。そして、この悪魔払いには、当該の村のみならず隣村からも大勢の人が見物に来ます(写真2)。当日の夕方から悪魔払いのための呪術師の踊りが始まります。踊りの合間に、生け贄が捧げられたり、呪術師が患者さん(写真3)に聖水のような水を与えたりして儀式が続きます。夜中の12時くらいまでは、太鼓奏者は太鼓を鳴らし続け、呪術師は踊り続けます。

悪魔払いの呪術師は、特定のカーストに属していて代々受け継がれる仕事で、普段は他の生計手段を持っている人も多いとのことです。今回の悪魔払いの呪術師はお父さんを中心に、息子3人、親戚1人というメンバーでした。松明を持って、クルクルと回ったり、飛んだりしながらの踊りは、なかなかダイナミックで圧巻でした(写真4)。

夜中の12時になると、一転雰囲気が変わりました。踊りは終わり仮面劇が呪術師によって演じられます。色々な仮面を次々と付け替えて、様々な短い、主に喜劇が演じられます。この喜劇は朝の6時くらいまで続けられました(写真5)。

正直言って最初、この悪魔払いの目的を聞いた時には、素朴に「え??」と驚きました。しかし、実際に参加してみて、村中の人々が集まり長時間一緒に儀式に参加しているのを見ると、村社会の中でお互いがお互いのことを心配しているよ、気にかけているよという確認作業として、悪魔払いが行われているのかな、と感じました。この場合は、赤ちゃんが欲しい2人に対しての気遣いという、日本であればそっとしておくべきと考えられるような場合でしたが。

(パルシック 高橋知里)